縫製工場の挑戦

大阪市内の縫製工場が、イギリス発祥の某スポーツブランドのバッグを、ライセンス契約のもとで生産しており、僕はそのバッグを販売する上での営業面と広報面のお手伝いをしています。

主にインターネットを使って、新商品などの告知をすることと問い合わせへの対応、それからメーカー直売サイトの管理運営です。

先日その直売サイトを通してご注文いただいた方から、今日、リピートオーダーをいただきました。

商品が届いたとき、たまたまお母さまが遊びに来られていたらしく、届いたバッグを見て気に入られたので、色違いでオーダーされたとのことでした。

こういうお話を直接うかがうと、仕事にも励みになりますが、このブランドのバッグにはこのような、同じお客様から一回のオーダーで複数個、色違いや型違いでご注文いただいたり、一度買われた方が、翌週、あるいは翌月ご注文くださったり、といったリピートオーダーが多いような気がします。

このバッグを作っている縫製工場の社長は、中国の工場には足繁く通っています。週明けに連絡したら中国に行ってて帰国は週末になると言われ週末に話をしたものの、翌週末に連絡を取ろうと思ったらまたいない、というような頻度で現地に入ってます。
この会社はもともと縫製工場ですから、大阪の鶴見区に工場を持っており、数年前までは自社工場でのみ生産をしていました。
顧客のニーズに応えるべく、中国に生産拠点を移し始めたのは4年前くらいのことです。そして、創業から40年近くの間、下請け工場として機能してきましたが、最近では企画段階から請け負うことが多かった同社は、メーカーとしての飛躍を図ろうと、このスポーツブランドの契約を交わしたのでした。

それまで全く流通との接点を持ったことがない下請け縫製工場としては、かなり思い切った判断だったようですが、企画専門のスタッフとも契約を交わし、デザインやカラーリング、素材や機能性などに独自の視点によるこだわりを持って商品開発を進め、立ち上がりから約2年間、大手アパレルショップなど一部の小売店から一定の評価を受けて来ました。
また、同ブランドのシューズが好調に売れ続けてきており、それと歩調を合わせるようなターゲティングや商品企画を行ってきたことで、ブランドのイメージを維持することも出来たのかも知れません。もともと限られた経営資源の枠の中で、極端な背伸びをせずに生産量を抑えてきたことも、価格を下げずにここまで来れた要因かも知れません。

しかしながら、私が最も注目すべき点だと思うことは、不良品の発生率が限りなくゼロに近いということです。
売店との直取引が基本的にはないために、代理店で停まっている可能性もありますが、約2年間の間に、不良返品は1度も受けていない、という話を聞いて驚きました。

それはひとえに、現地に足繁く通って工場と密にコミュニケーションをとろうと努力してきた賜物ではないのかと思っていおります。

これは余談ですが、ちょっと前に、中国で作られた商品の品質や安全性について大変騒がれた時期がありました(なぜか最近はあまり大きくは取り上げられなくなっていますが)。しかし、生産する側がしっかりコミュニケーションをとっていれば防げたことというのは案外多いのかな、と、今日、お客さんにお礼のメールを返信した後で、考えてておりました。

いずれにしろ、このような物づくりに対する必死さというのは、見習わなければならないと思っております。