蜻蛉の羽の音
今日は午前中の数時間を、庭の草むしりに充てました。
無心になって雑草と格闘していると、普段は気が付かない音に気が付きます。今日聞こえてきたのは、蜻蛉の羽の音。しゃがんで草むしりしている私の頭の上に、赤とんぼが4羽、5羽と集まってきました。
パタパタパタッ………パタパタッ…
見上げると、僕が立ち上がった時の目線ぐらいの高さに蜻蛉が浮遊するように飛んでいます。
子供の頃、田んぼの上を赤とんぼの大群が飛ぶ景色は日常的な風景でした。その頃、こんな音を聞いていたような気もします。
「なんか平和だなー」
と思いつつ、その蜻蛉の音しか聞こえない静寂の中で、不安定な社会情勢に思いをはせました。そんな気はなかったんだけれども、自然と考えました。
不安定な政治、こじれる隣国との関係…。平和という幻想が、どんどん、どんどん崩れていく中で、僕たちは生きています。
国は滅んでも民は残る。
何に書いてあったんだっけ?
それはともかく、周りの環境が変わっても、元気に生きていく覚悟があればそれでいいか。アウシュビッツの強制収容所で、何人もの人たちが倒れていく中、生き残って終戦を迎えることが出来たのは夢を失わない人たちだったって、これも何かの本に書いてありました。そこまでも過酷な運命が、私を待っているのかどうかはわかりませんが…
昆虫は声も出せずに、ひっそりと空を飛びます。時々、耳を澄ますものだけが、その羽音を聞くことができるんだよね、って脈絡はないが、そう思いました。